電力貯蔵技術は、夜間などオフピーク時にベース電源の電気によって他のエネルギー形態に変換してエネルギーを貯蔵し、それを昼間のピーク時に再び電気に戻すシステムである。情報化の進展や冷房機器の普及により電力の一日の負荷率が悪くなっており、電力貯蔵はピーク用電源の設備を削除する有効な対策としてその導入が期待されている。電力貯蔵技術には、商用化が最も進んでいる揚水発電(pumped hydro power generation)のほかに、圧縮空気(compressed air energy)、蓄電池(battery)、電気二重層キャパシタ(electric double layer capacitor)、フライホイール(flywheel)、超電導(superconducting magnetic energy)がある。このうち圧縮空気による電力貯蔵は、発電時にガスタービン用の燃料を消費するため、貯蔵と発電のハイブリッド技術である。水の位置エネルギーや圧縮空気による貯蔵設備は、ほとんどが土木工事で建設できるため大容量貯蔵に適している。それに対して、磁気、化学、運動のエネルギーにより貯蔵する超電導、蓄電池、フライホイールは貯蔵のエネルギー密度は大きいことから、小容量の分散型エネルギー技術として開発されている。最近、エネルギー密度はまだ小さいがリサイクル特性に優れた電荷を貯蔵する電気二重層キャパシタが電力貯蔵として期待され始めている。