送電線や変圧器など電力流通施設の老朽化が進んでいるアメリカにおいて、グリッド(送電線網)にIT技術を取り入れることで電力供給の信頼性向上だけでなくエネルギー効率の改善を図ることから生まれた言葉。直訳すると「賢い送配電網」あるいは「洗練された送配電網」となるが、その概念は様々な広がりがあって明確でない。狭義には、情報通信と情報制御を使って電力ネットワークを効率的に運用することと解釈されているが、広義になると住宅・自動車・家電を中心とした需要側の省エネルギーや太陽光・風力・スマートエネルギー端末など供給側における新エネルギーの取り組みも含まれる。さらに、技術だけでなく、制度、金融、産業構造を取り入れたシステムもあり、その概念は国や地域によって置かれている力点も異なっている。導入効果には、需要家のエネルギー消費をリアルタイムで制御することによるピーク需要の削減、電気の品質と信頼性の向上、電気の「見える化」による省エネ意識の高揚のほかに、太陽光や風力など再生可能エネルギーの利用拡大による地球温暖化対策やエネルギー安全保障の確保などがある。