熱帯地方の場合、海面の表層部の温度は約20~35℃であるのに対し、水深500メートルより深部の水温は年間を通して約5℃と一定であり、この温度差を利用した発電方法。海洋エネルギー技術の一つである。発電の方式には、アンモニアなどの低沸点熱媒体を使用する密閉サイクルと、取り込んだ表層海水がその温度で沸騰するまで減圧して蒸発させる解放サイクルとがある。
原理は1930年にフランス人のジョルジュ・クロード(Georges Claude)によって実用化に向けた研究が開始された。それは火力発電と同じランキンサイクル方式で、蒸発器、タービン、発電機、凝縮器、ポンプから成り立っている。ポンプには表層から500~1000メートルの深層海水をくみ上げるポンプ、表層海水を取り入れるポンプ、それに作動流体の給水ポンプがある。
温度差を20度として求められるカルノーサイクル効率は7%であり、ポンプ動力や機械損失等を考慮すると実際に得られる正味効率はかなり低くなる。また、設備も大掛かりになることから、経済的に成り立たせるには他の海洋構造物と併設する工夫や、あるいはくみ上げた深層水をミネラル水など付加価値のある製品として販売することが求められる。