ガスで発電すると同時に、排熱を給湯や空調などに供給し、エネルギーを有効利用する熱電併給システム。中小容量の分散型エネルギーシステムとして、熱需要が比較的多いビルや工場などの需要地で普及しつつある。発電方式から、ガスエンジン方式、ガスタービン方式、燃料電池方式の3種類がある。
ガスエンジン方式は、エンジン排熱で水蒸気を製造し、エンジン冷却水で給湯用の高温水を供給するシステムで、最も普及が進んでいる。水蒸気は、乾燥や煮沸などの用途に直接利用されたり、吸収冷凍機で冷房用の冷熱を製造するのに使われたりする。また、温水も給湯などへの直接利用や温水吸収冷凍機による冷熱製造に使用される。発電効率は26~49%、熱の利用を含めた総合効率は72~92%になる。
ガスタービン方式は、ガスタービン排熱で水蒸気を製造し、蒸気吸収冷凍機で冷熱を製造するシステムである。発電効率は23~39%とガスエンジン方式に比べてやや小さいが、総合効率ではほぼ同じレベルが可能になる。
燃料電池方式は、水素と空気中の酸素から電気を作りだし、副次的に発生する熱を蒸気や温水として回収利用するシステムである。水素は都市ガス、灯油、バイオマスなどから、システム内で生産される。CO2以外の排出物がほとんどなく、騒音や振動もないなど環境面でも優れている。発電効率は35~65%、総合効率でも80~90%と高い効率が期待されているが、一方で燃料電池の信頼性向上とコスト低減が課題になっている。