複数の参加者の所有する情報を秘匿したまま何らかの演算を行うことを、量子力学を使って行う計算。量子マルチパーティープロトコル(quantum multiparty protocol 「プロトコル」は通信規約の意味)や量子暗号プロトコル(quantum cryptography protocol)と呼ばれることもある。最も基本的なものに、ビット値を伏せて提出し、時間差をおいて開示するビットコミットメント(bit commitment)があるが、無条件に安全な量子ビットコミットメントは存在しないことが証明されている。しかし、「無条件」を外し現実状況下での安全性まで否定されるとは限らず、これを組み合わせたコイン投げ(じゃんけん)プロトコルの提案もある。認証(authentication)、署名(signature)、シークレットシェアリング(secret sharing)なども考えられる。将来的には、選挙や入札などのプロトコルの可能性も考えられ、これらは量子コンピューターよりは実用化が早い可能性もある。最近、参加者を完全に平等に扱ったままリーダーを選ぶ「量子リーダー選挙」が、光子を用いたNECの研究により2007年に実証された。