振動のエネルギーが量子化されて、とびとびの値となる様子が観測される状況(高振動数かつ低温)にあるような力学的振動体(→「量子力学」)。カンチレバー(片持ちバリあるいはパドル)やギターなどの両端固定弦はなじみ深い力学的振動体だが、振動の量子化の効果は通常熱雑音に埋もれて見えない。半導体集積回路作製技術を用いてこれらの振動体を極めて微小に作製すると、振動数が光の振動数に匹敵するほど大きくなり、十分冷やすことにより振動のエネルギーが熱雑音に埋もれず粒子の個数として数えられる効果が見える。2000年代に入ったころから研究が始まったが、10年末にアメリカのカリフォルニア大学サンタバーバラ校で「重ね合わせ状態」が初めて観測された(→「重ね合わせの原理」)。これは最も弱い振動と、それより少し強い振動が同時に重ね合わさった振動状態である。