(1)送信者はランダムな位相シフトを設けた微弱光パルスの列で一つの量子ビットを表現して送信し、(2)受信者は送信者と独立にランダムに選んだ遅延時間で位相シフトを検出、(3)光が微弱なためおおかた検出に失敗する中で、成功した場合だけ送信者に成功したことのみを伝えることにより秘密鍵を生成する量子暗号の方式。2014年に発案され15年に実証実験されている。受信者から事後に知らされた遅延時間と検出成功時刻の情報のみから、送信者は受信者が得た位相差がわかるので、両者は秘密鍵を共有することができる。盗聴者は当てずっぽうに選んだ二つの光パルスの位相差を非破壊的に読むことしかできず、盗聴に成功するのは、たまたま受信者が検出に成功した二つのパルスと同じパルスを盗聴していた場合に限られるので、従来の量子暗号と同じように好きなだけ小さくできる。さらにこの方式が従来の方法と大きく異なるのは、好きなだけ小さく設定できるこの漏洩情報量が伝送の誤り率に依存しない点にある。従来の量子暗号では信号の誤りは盗聴行為によるものと仮定せざるを得ず、誤り率がある値を超すと使えなかったが、この方式はそのようなことがない。