ボトムアップ(→「ナノリソグラフィー」)手法でナノ構造を大量にしかも一様に作れる可能性が期待されるのが自己組織化である。これは、ばらばらの分子がひとりでに組み上がり、機能する大きな集合体を作る現象であるが、特別なものではない。私たちの骨も細胞も特定のナノ構造の組み合わせとして形成されているように、生物は自己組織化を巧みに使っている。現在、この現象をさまざまな材料に応用しようとする試みが広がっている。化学合成でナノスケール(nm : 10-9m=10億分の1mレベルのスケール)の特定の構造が自動的に組み上がる条件を利用してカーボンナノチューブ(CNT)やナノ粒子の作製など、さまざまな材料に応用しようとする試みが広がっている。DNAやたんぱく質の自己組織化構造をナノ構造の鋳型とする試みもある。自己組織化の欠点であるナノ構造を作る位置の制御性を改善する技術としてトップダウン手法とボトムアップ手法を組み合わせる技術も注目されている。