薄型テレビやプロジェクターでは、効率的に蛍光板を電子ビームでたたくために、とがった先端に電界を集中させて、電子を効率的に発射できる安定なデバイス、フィールドエミッター(field emitter)が要求され、この確立にカーボンナノチューブ(CNT)が脚光を浴びている。半導体的な性質を示すCNTでは高性能トランジスタが期待でき、直径1nm(ナノメートル nは10-9=10億分の1)のCNTダイオードなども報告されている。室温よりも高温で動作する単電子トランジスタも実現され、単一CNT上に電子回路部品を集積させ、リング発振器を試作し超高速動作を確認することにも成功している(ナノIC nano IC〈IC ; integrated circuit〉)。ナノ流体制御にからむユニークな振る舞いや流体のナノスケール制御を用いたデバイスも研究中で、水銀温度計と同じ原理でCNT中の金属ガリウムが周囲の温度で膨張し液面が上がるナノ温度計(nanothermometer)もある。