北緯20度以北の冬季3カ月平均の北半球海面水温の時系列の解析から見つけられた、太平洋全域にわたる10~20年の時間スケールを持つ海面水温の変動モード。太平洋中央部から西太平洋の北緯40度を中心とする楕円状の偏差と、アラスカ沖からカリフォルニア沖、そして東太平洋赤道域から西にくさび形に延びる逆の偏差で特徴づけられる。観測面では、1976年に東太平洋赤道域の偏差がプラスに転じ、98年にマイナスに転じたとされる。また、アリューシャン低気圧の示度(気圧)の変動とよい相関がある。このメカニズムに関しては、種々の議論があるが解決していない。エルニーニョの影響を避けるために北緯20度以北のデータを使っているが、低緯度のくさび形の構造は、エルニーニョ/ラニーニャの構造と類似点も多く、ENSO(エルニーニョ・南方振動)の10年規模変動という議論もあり、ENSOとの関連は大きな関心を呼んでいる。