2017年7月5~6日に福岡県から大分県にかけての地域で記録的な大雨により死者37名、行方不明者4名のほか多くの家屋が全半壊や浸水するなど激甚な災害が発生し、気象庁が「平成29年7月九州北部豪雨」と命名した集中豪雨。対馬海峡付近に停滞した梅雨前線に向かって暖かい湿った気流が流れ込んで線状降雨帯が形成され、猛烈な雨が同じような場所に繰り返し降った。このことで、最大24時間降水量が福岡県朝倉市では545.5ミリ、大分県日田市では370.0ミリといった統計開始以来1位の値を更新する豪雨となった。12年に発生した九州北部豪雨の被災地と重なったこともあり、経験に基づく取り組みが減災に役立った面もある。しかし、今回は流木を伴った土石流が襲来して土砂災害の被害が大きくなったことや山間部での洪水による被害が多かった。山地の河川は流量が多くなると、勾配が急で谷の幅が狭いため、水の流れが速くなり水の力が増して破壊力が大きくなるので、洪水による家屋の倒壊が多かったり、犠牲者の比率が大きかったと考えられている。