2012年7月11~14日に九州北部に死者30人、行方不明2人のほか、洪水や浸水、土砂災害などの激甚な災害をもたらした集中豪雨。気象庁はこの集中豪雨を「平成24年7月九州北部豪雨」と命名した。総雨量が熊本県阿蘇市阿蘇乙姫で816.5ミリのほか福岡県八女市黒木で649.0ミリ、大分県日田市日田で462.0ミリという大量の雨が降った。1時間に100ミリ前後の猛烈な雨も各地で降った。梅雨前線が九州の北に停滞して、東シナ海から蒸発した水蒸気が九州に流れ込み続け、湿舌と呼ばれる湿度の高い領域が帯状に形成されていた。湿舌の南縁では積乱雲が風上側で次々に発生するバックビルディングという現象が続き、九州北部にはいくつもの積乱雲が列を作って並び集中豪雨をもたらした。今回の集中豪雨に際して気象庁や地元の気象台は「これまでに経験したことのないような大雨になっている」という表現の記録的な大雨に関する情報を初めて呼びかけた。これは2011年台風12号による紀伊半島での大災害のときに切迫感を十分に伝えられなかったことから始めたもので、30~40キロメートル四方を超える広い地域で50年に1回程度の大雨が降り続くときに発表される。