深海に生息する生物のこと。深海とは生物学的には太陽の光の届かない、有光層より深い海のことをいう。海域によって異なるが水深にして約200メートル以深である。この深さより深いところに生息する生物を一般的に深海生物という。ここには中層の生物も含む。ちなみに、物理学的には海洋の平均水深に近い水深3000メートルより深い海を深海という。深海生物が生息する環境の最大の特徴は、太陽の光が届かない暗黒の世界だということである。そのために、太陽のエネルギーを使って生息する光合成生物とは全く異なるエネルギーで生息する。太陽の光が届く有光層のすぐ下の深海では光合成生物であるプランクトンの死骸がマリンスノーとして落下してくる。ここではマリンスノーがまだ手に入るのでそれらを得たり、昼と夜で生息する深さを変えたりして餌を獲得している。それよりも深い深海底に生息する生物は浅海からの残り物はほとんど期待できないため、独自の方法で餌を収得している。そのうちの一つが化学合成生物群集である。化学合成生物群集(→「シロウリガイ」)には、深海熱水系や沈み込み帯から出てくる冷湧水系、そして大型の生物の遺骸に依存する鯨骨生物群集などが知られる。それらは硫黄や水素を中心とした化学反応によるエネルギーによって生息している。