文部科学省が管轄する独立行政法人で、人文社会から科学技術まで、幅広い範囲の基礎的な学術研究のための資金助成を行う。また、国際交流、若手研究者の育成などの事業を実施している。文部科学省の科学研究費補助金の配分業務は、学振の重要な業務となってきている。他にも、種々の競争的資金の配分運営や研究の拠点形成を担う。1932年、天皇からの下賜金150万円を基に、財団法人日本学術振興会として発足した。当時、大学等における学術研究への資金提供は帝国学士院などを通じて細々と行われていた。31年、経済不況を背景として学界の長老たち100人以上が学術振興の必要を訴えた。その結果として翌年発足。潤沢な資金を個人研究とグループによる総合研究に与え、日本の学界の近代化と研究水準の向上に奉仕した。他方で、戦時中には研究の軍事動員(科学動員)を担った側面があったため、戦後しばらく活動は低下した。その後、先駆的なポスドク制度である特別研究員制度、また、外国人招聘プログラムなどを実施し、事業を拡大した。予算規模は3000億円前後となっている。文部省傘下の日本学術振興会と、科学技術庁傘下の科学技術振興事業団が、2001年の省庁再編に伴い同じ文部科学省の下に存在することになったことから、両者の役割の重複の是非が論じられることがある。