実測可能な距離や角度から三角形の性質を応用して、実測不可能な距離や角度を算出する三角測量(triangulation)において、その基準とする点。三角形の合同の性質が使われている例の一つで、図形を三角形の組み合わせと考えることによって、形や面積を確定する。
江戸時代に、伊能忠敬が全国を歩いて精密な地図を作り上げた偉業は有名であるが、道具も少なく、それ以上に現在とは大きく状況が違った。現在では、日本全国に三角点が多数設置されており、非常に正確な一等三角点が969個、それをもとに二等三角点、三等三角点、四等三角点と、三角点は全部で10万点あり、地図の測量が容易になっている。
また、土地の登記では、その土地の所在地、形などと並んで、その土地の面積が重要な情報となる。その面積を計算するための公図として地積測量図と呼ばれるものがあり、三角点と同じ理由で、土地を三角形に分割して表示する。実は、3辺の長さが決まれば、ヘロンの公式(→「ヘロン数」)によって面積も確定する。しかし、この公図を決めた時点では、電卓も開発されておらず、ヘロンの公式のように、√(ルート)の計算を含む面積計算は、特別な能力と労力を要した。それゆえ、公図としては、一般の人にもわかりやすく、計算もしやすい、面積=底辺×高さ÷2を出す形になったのであろう。