群、環、体などの構造をもつ集合から同じ構造をもつ集合への写像でありながら、その構造を保つものを準同型写像という。たとえば、演算「・」で群をなすGと、演算「*」で群をなすHについて、
k:G→Hという写像が、Gの要素a、bに対して、
k(a・b)=k(a)*k(b)を満たすとき、準同型という。
準同型写像は単位元(Gの中の特別な要素eがGのすべての要素aに対して、e・a=a・e=aとなるときのe)を単位元に写す。
また、集合だけでなく、図形においても準同型写像は成立する。二つの図形A、Bについて、
f:A→Bという写像が連続写像(continuous mapping)、つまりAとBを位相空間としてfがAのある点の連続であるならば、この写像から自然に基本群(ある図形の中の一点から出てその点に戻るループについて、図形内で動かして重ねられるものの集合)の間の準同型写像
f*:π(A)→π(B)が導かれて、次の性質を満たす。
二つの写像
f:A→B
g:B→C
について、その合成写像(composite mapping ある写像に対して新たに別の写像を施したもの)は、
(g・f)* =g*・f*
を満たす。
このことが、不動点定理の証明につながる。