岐阜県飛騨市神岡の地下1000mに置かれた水チェレンコフ光観測装置。5万tの純水を入れる直径40m、高さ42mの円筒状タンクの壁面に並べた1万1200個の光電子増倍管がチェレンコフ光 (Cherenkov light ; Cherenkov radiation 荷電粒子が水などの媒質の中を超高速で飛行する際に発生する光)を検出する。約5MeV(メガ電子ボルト Mは106=100万)以上のエネルギーのニュートリノ(→「レプトン」)が検出でき、超新星ニュートリノ、太陽ニュートリノ、陽子崩壊、大気ニュートリノ、長基線ニュートリノ振動の実験で活躍。J-PARCと連携したニュートリノ振動実験が実行中である。
スーパーカミオカンデは次期の目標として、超新星爆発によるニュートリノが蓄積した超新星背景ニュートリノ(SRN ; supernova relic neutrino)の観測を計画している。反電子ニュートリノは陽子に吸収されて陽電子と中性子になるが、この中性子は、水中に0.2%ほど溶かしたガドリニウムに吸収され、続いてガンマ線が放出される。陽電子とガンマ線の連動したこのイベントを探す試みである。
スーパーカミオカンデの後継として計画されているのがハイパーカミオカンデ(Hyper-Kamiokande)である。巨大水タンクを周囲の光センサー群で監視して、新素粒子現象を検出する装置で、水槽体積はスーパーカミオカンデの約10倍で、長さ250m×高さ54m×幅48mの円柱状タンクを2台設置する。物理的な課題は、ニュートリノ振動のCP破れ、陽子崩壊、宇宙ニュートリノイベントなどである。