陽子や中間子などのハドロンはクォークの構成体である。このハドロンを強い相互作用のゲージ理論であるQCD(quantum chromodynamics 量子色力学)で理論的に解明するには、膨大な数値計算が必要になる(→「ゲージ場理論」、「標準理論」)。その手法として、時空を格子に置き換え、その格子点にクォーク場があり、格子に沿ってクォークとクォークを結ぶグルーオンがあるというように、格子上に場の変数を置いて解いていく。こうした格子QCDの計算によって、ハドロンの質量、スピン、陽子と中性子を結びつける核力(nuclear force)などが計算されている。ハドロンの質量の大半は、クォークの質量でなく、グルーオンであることが示せる。かつて湯川秀樹が試みた核力間に働く力は、QCDの第一原理から計算できるようになった。