寒天、ゼリーから紙おむつにいたるまで、ゲル(gel)すなわち物質が粒子状に分散したコロイド(colloid)の溶液がゼリー状に固化した状態は、なじみ深い物質の状態である。近年ゲルがスマートマテリアルとして注目を集めているのはその体積相転移現象、すなわちゲルの体積がpH(→「イオン」)、温度、溶媒の組成などの刺激により変化する現象を示すからである。最近では、細胞の分化や増殖を制御するシグナル生体分子(signal molecules)や環境関連分子などを認識して応答する、分子刺激応答性ゲル(molecular receptive gel)の開発が進められている。