アクチュエーターとは、入力されたエネルギーを物理的な運動に変換する機構で、その小型のものはマイクロマシンに不可欠の要素である。ナノマシンに必要な分子レベルの大きさの分子アクチュエーターは、光による分子の変形をマクロなレベルで実現することによって得られるかが課題となるが、その性質の実現が最近示唆されている。昨今の研究では、アゾベンゼンのシストランス異性化(光幾何異性化→「光学異性体」)、ジアステレオマーアリールエテン誘導体のフォトクロミズムの利用などが有望視されている。フォトクロミック分子結晶の光変形は普遍的な現象である。これらが利用されるようになれば、電子、光学、機械、エネルギー、機能材料、医療などの分野で、さまざまな結晶からなる分子アクチュエーターが実現し、大いに利用されるようになろう。