現代の産業、特にハイテク分野で必須の金属であるが、地殻中の存在量が少ない、分離・精製が困難、輸入量に制約があるなどの理由で入手が困難な金属。希少金属とも呼ばれ、周期表での第3族のレアアース(希土類金属)を含めて、現在47種類ある。第1族ではリチウム(Li)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、2族ではベリリウム(Be)、花火や発煙筒に用いられるストロンチウム(Sr)、造影剤用のバリウム(Ba)が、4族では形状記憶合金、光触媒用のチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)が属している。第5族のバナジウム(V)は鉄鋼の強化に、ニオブ(Nb)は超伝導材料、タンタル(Ta)はインプラント(体内に人工物を埋め込む医療技術や製品)に用いられ、6族ではクロム(Cr)が10族のニッケル(Ni)とともにステンレス材に、モリブデン(Mo)は高温用ステンレス鋼に、タングステン(W)は超硬合金に、7族ではマンガン(Mn)が乾電池などに、レニウム(Re)は水素化触媒として、9族ではコバルト(Co)が磁気材料に用いられ、10族ではパラジウム(Pd)が水素吸蔵合金であるとともに、白金(Pt)は三元触媒(three-way catalyst 排気ガスの中の炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物の3成分を除去する触媒)などとして重要である。13族ではホウ素(B)が半導体に、ガリウム(Ga)が青色発光ダイオードに、インジウム(In)が透明電極として不可欠である。14族ではゲルマニウム(Ge)、15族ではアンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)が、16族ではセレン(Se)、テルル(Te)がレアメタルに属している。レアメタルは電子機器などの先端産業の発展にともなって需要が高まるばかりで、入手が一層困難となっている。レアメタルが多く使われている使用済みの電子機器は、いまやその宝庫であり、「都市鉱山」として注目されている。