周期表第3族のスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)からルテチウム(Lu)までの15個のランタノイド元素をまとめてレアアース、あるいは希土類元素(rare earth element)という。希土類元素は水溶液中では+3価(原子が電子を3個失ったイオンの状態)が安定である。原子は原子核の周囲を電子が回っている構造をとり、その軌道は主量子数nで決まる電子殻(electron shell)をつくっているが、それらはさらに、例えばn=3(内側から3番目の電子殻となるM殻)は3s、3p、3d軌道に、n=4(N殻)は4s、4p、4d、4f軌道に分かれている。どのイオンも最外殻は、不活性ガスと同じns2np6(スカンジウムのときはn=3、イットリウムではn=4、ランタノイドではn=5)の電子配置をとり、化学的性質が極めてよく似ている。また、ランタノイド元素のイオン半径(イオン化している原子の大きさ)は、ランタノイド収縮(lanthanoid contraction)といって、ランタンからルテチウムにいたるまで原子番号が大きくなるほど小さくなるが、その差はわずかである。このような性質が希土類イオン相互の分離を困難にしている。レアアースは、1794年、J.ガドリンによるイットリウム(Y)の発見からはじまり、分別結晶法などを駆使して20世紀初頭までに次々と発見されたが、ランタノイド元素のプロメチウム(Pm)だけは、1940年代になってウラン-235の核分裂の生成物から分離された。ランタンからルテチウムまで、最外殻5s25p6の一つ内側の殻の4f軌道に配置される電子の数が0から14個まで変化する。この4f電子が、ランタノイドイオンの吸収スペクトル(色)や磁性の源となる。スカンジウムはメタルハライドランプに、イットリウムとユウロピウム(Eu)はカラーテレビなどの発光体として、ランタンは高屈折レンズ用に、サマリウム(Sm)とネオジム(Nd)は強力永久磁石の材料として、エルビウム(Er)は光ファイバーとして用いられ、いずれの希土類元素もレアメタルである。