中世における普遍論争の両極となる立場。さまざまなものごとに共通に述べられる普遍(universal)の存在性格をめぐっては、プラトン(Platn BC428/7~BC348/7)のイデア論以来さまざまな形で問題とされていたが、キリスト教の教義にかかわる議論も絡んで中世に激しい論争を招いた。大まかに言えば、何らかの意味で普遍の実在性を主張する立場が実在論(実念論)、個物のみが実在するとして、普遍を名称(nomen 羅)にすぎぬものとみなす立場が唯名論である。近世以降は唯名論が主流となるが、例えば数学的対象や生物における種の存在性格をめぐって論争は継続されているとも言える。