カルトとは崇拝、また特定の宗教指導者への熱狂的な崇拝を意味しているが、今日ではカリスマ的指導者に率いられた反社会的な宗教集団を指すようになっている。カルトの多くは世界がやがて滅亡するとする終末観を持つ。カルトが注目されたのは、1969年に米国でチャールズ・マンソンとその「ファミリー」による女優シャロン・テートらの殺害が起こってからである。以後ピープルズ・テンプル(人民寺院)の教祖ジム・ジョーンズと信者900余人の南米ガイアナの密林における集団自殺(78年)、テキサス州に本部を持つデイビッド・コレシュのブランチ・ダビディアン教団によるFBIなどとの銃撃戦・集団自殺(93年)、カナダとスイスで起きたリュック・ジュレの太陽寺院教団信者の集団自殺(94年)、インターネットを使って布教していたヘブンズ・ゲート(天国の門)の教祖マーシャル・ハーフ・アップルホワイトと信者39人の集団自殺(97年)など、現代のテクノロジーを駆使しつつ、核戦争・環境汚染による世界の破滅・終末やキリストの再臨を信仰するカルトの過激な事件が相次いで起こっている。日本には、仏教の末法思想があった一方で、民俗宗教には大地震などの天変地異が起こり、これまでの世界が滅びた後に新しい世界が訪れるとする世直し思想があった。現代では、キリスト教的な終末観やノストラダムスの予言の影響を受けて、世界の終わりと地上天国の樹立などを説いている教団がいくつかある。オウム真理教(→「『ひかりの輪』結成/オウム事件の推移」)は地下鉄サリン事件などで自らハルマゲドン(Harmagedon[希] 善と悪との最後の決戦場、また世界最終戦争)を演出して、無差別殺人を事件を起こした。