15世紀にナーナクがヒンズー教(ヒンドゥー教)とイスラームを批判的に統合して創始した宗教。パンジャブ地方に生まれたナーナクはイスラームの影響を受けて、偶像崇拝や断食などの苦行、ベーダ聖典の学習も否定し、唯一絶対神ハリへの熱烈な信仰を説き、神の前ではすべての者が平等だとしてカースト制度も非難した。ナーナクの死後、彼をグル(師)と仰ぐ弟子たちによってシーク(弟子の意)教が形成されていった。シーク教団はムガル帝国との抗争のなかで皆兵制にして武装化し、18世紀の終わりにパンジャブ地方に一大王国を築いた。19世紀中頃にシーク王国はイギリスによって滅ぼされ大虐殺もされたが、ガンディーの指導する不服従運動に参加して抵抗した。インド独立後は、政治と宗教の自治を要求して分離独立運動を起こし、パンジャブ州の分割に成功したが、ヒンドゥー教徒との対立は根深く続いている。シーク教徒は頭髪も切らず髭(ひげ)も剃らず、ターバンを頭に巻く独特の姿をする。