バルダマーナ(紀元前549年頃~前477年頃など諸説あり)を開祖とするインドの宗教。バルダマーナはマハービーラ(偉大な英雄)と呼ばれ、「ジナ(勝利者)」と尊称された。このジナの教えをジャイナ教と呼ぶ。バルダマーナはブッダ(→「釈迦」)とほぼ同時代に王族(クシャトリャ)の子として生まれ、成長して一女をもうけたが、30歳の時に出家して行者となり、12年の苦行の生を送った後、修行の完成者「ジナ」となり、約30年間にわたって教えを説き、72歳で没した。バラモン教(→「ヒンズー教(ヒンドゥー教)」)の聖典「ベーダ」の権威を否定し、司祭のバラモンによる祭祀を批判し、カースト制度も否定した。霊魂を輪廻から解放して、現世の苦悩から解脱するためには、不殺生・不妄語・不偸盗(ふちゅうとう)・不邪淫・無所有の五つの戒律(五戒)を守り、出家して苦行を積み、悪行を犯さずに、すでに積み重ねた業を捨て去らなければならないと説いた。ジャイナ教は仏教のようにインドから他の地域へ伝播しなかったが、現在でもインドには人口の0.4%(諸説あるが200万~500万人)の信者が存在し、特に動植物の不殺生(アヒンサー)の戒を順守し、徹底した苦行と禁欲主義を実践している。