2012年、アメリカのメジャー2社、ユニバーサル・ピクチャーズとパラマウント映画が100周年を迎えた。ユニバーサル・ピクチャーズは東欧出身のカール・レムリが1912年4月30日にニューヨークに創設し、エジソン社中心の映画会社カルテルに対抗して、スター・システムを導入、15年にはロサンゼルスに当時としては世界最大の映画スタジオだったユニバーサル・シティを建設。26年9月には日本映画の製作にも乗り出し、阪妻・立花・ユニヴァーサル聯合映画を設立して35本を製作したものの、翌年5月に提携解消。30年に「魔人ドラキュラ」を手がけてからはホラー映画を連発。テレビの普及によってハリウッドが苦戦を強いられた50年代末期に音楽産業のMCAに買収され、90年代には松下電器産業(現パナソニック)、カナダの醸造会社シーグラム、フランスのヴィヴェンディと親会社が変わり、三大テレビ放送網の一つNBCと合併し、2009年からケーブルテレビ大手コムキャストの傘下となっている。ホラーだけでなく「E.T.」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」といったSF映画、「黒い罠」といった犯罪ものでも知られている。100周年を記念して会社のロゴも新たにし、「アラバマ物語」「西部戦線異状なし」「ジョーズ」「フランケンシュタイン」など13本を修復、撮影所でも記念祝典が行われた。
雪に覆われた、ごつごつした山頂の周囲に24個の星が輝くロゴで知られるパラマウント映画もカルテルに対抗したインディペンデントの一つで、1912年にセシル・B・デミル、アドルフ・ズーカー、ジェシー・L・ラスキーらのフェイマス・プレイヤーズ・フィルム・カンパニーが他社と合併し、16年にパラマウント映画と改称。30年代はハリウッド・メジャーのトップ会社となった。洗練されたコメディー、デミルお得意の大スペクタクル「十戒」、「ある愛の詩」「タイタニック」といったロマンス映画、「インディ・ジョーンズ」シリーズ、コッポラ監督の「ゴッドファーザー」、オードリー・ヘップバーン主演の「ローマの休日」「ティファニーで朝食を」、SF映画「スター・トレック」シリーズなどを公開。50年代にはテレビに対抗して大型画面のビスタビジョンを開発。66年にコングロマリットのガルフ&ウェスタンが買収。94年にバイアコムの傘下になっている。ちなみに他のメジャー会社は、20世紀フォックスが2年前に75周年を祝っている。コロンビア映画が1919年、ワーナー・ブラザース(WB)とディズニーが23年、MGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)が24年に創立されている。