松竹110周年事業の一環として企画された、歌舞伎の劇場用映画化。第1弾は2004年に中村勘九郎(18代目中村勘三郎)主演で大人気を博した「野田版 鼠小僧」。以後、勘三郎や坂東玉三郎主演の作品が次々と公開され、10年には宮藤官九郎作・演出の異色作「大江戸りびんぐでっど」も登場した。古くは小津安二郎監督、6代目尾上菊五郎主演の「鏡獅子」、近くは劇団☆新感線による舞台映像の劇場公開の例もあり、名作の記録と観客層拡大がメリット。宝塚クリエイティブアーツを始めとして舞台映像の商品化に実績を上げる劇団も多く、メディアミックスとライブの調和が21世紀演劇の重要な課題となろう。