究極の恋愛悲劇として知られる作品。16世紀にイタリアで民話を基に書かれた小説が各国語に翻訳され、この筋を題材にシェイクスピアが戯曲として創作し1590年代に初演。以後400年以上、世界中で愛されてきた。ルネッサンス期のヴェローナが舞台となり、互いに敵対する名家に生まれた若者が恋に落ちるが、様々な思惑や行き違いの末、二人とも自ら命を絶つ。名舞台は枚挙にいとまなく、オペラやバレエにもなっているが、映画ではフランコ・ゼフィレッリ監督、オリビア・ハッセー、レナード・ホワイティング主演作(1968)の古典的映像美、バズ・ラーマン監督でレオナルド・ディカプリオがロミオ、クレア・デインズがジュリエットを演じた作品(1996)の大胆な現代化が際立つ。2001年にはフランスのジェラール・プレスギュルビックがミュージカル化。10年以上にわたって世界20数カ国で上演された。日本では、小池修一郎による潤色・演出で、宝塚歌劇団星組が10年に梅田芸術劇場と博多座で上演。続いて11年1月には雪組新トップスター音月桂の宝塚大劇場お披露目公演として取り上げられた。さらに同年9~10月には同じく小池演出により赤坂ACTシアターと梅田芸術劇場で、ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」として、ロミオに城田優・山崎育三郎のダブルキャストで上演され、ジュリエット役には昆夏美とフランク莉奈がオーディションで選ばれた。隠された人間関係の顕在化、「死」や「愛」といった概念の視覚化がなされ、若者たちの暴走するエネルギーと純愛が、ロック調のナンバーと切れの良いダンスによって鮮烈に表現されている。12年10月には東京・渋谷に新開場の東急シアターオーブにおいてフランス版も上演された。