俳優。1933年11月21日、広島県生まれ。俳優座養成所5期生を経て、1956年に俳優座座員。仲代達矢に次ぐ大型新人男優として注目される。63年、テレビドラマ「三匹の侍」の桔梗鋭之介役で全国的な人気を得る。68年に俳優座を退団。浅利慶太演出の「ハムレット」「結婚物語」で劇団四季に客演し、以後フリーとして幅広い活動を展開する。70年のNHK大河ドラマ「樅の木は残った」の原田甲斐役は、従来悪人とされていた人物の困難な生涯と人間性を重厚に表現し、大河ドラマ史上に残る名演として記憶される。同じく73年の大河ドラマ「国盗り物語」にも主演。晩年に至るまで、数々の映画やテレビドラマに出演し、昭和・平成を通じて、最も国民に親しまれた俳優の一人であり続けた。その本領は舞台にあり、容姿、体格、声、演技力において抜きんでた資質に恵まれ、シェイクスピアをはじめとする古今東西の名作の主役で圧倒的な存在感を示したのみならず、新劇出身の俳優の中では特異といえるほどの「傾き」性を漲らせ、人間の持つ複雑な内面や狂気、滑稽味すら自在に表現した。76年の「近代能楽集 卒塔婆小町」以降、「王女メディア」(78年初演)、「近松心中物語」(79年)「NINAGAWAマクベス」(80年)、「オイディプス王」(86年)など一連の蜷川幸雄演出による舞台の成功も、この人の存在あってのことである。70年、女優の佐久間良子と結婚。84年に離婚したが、長男が現在俳優として活躍している平岳大(ひらたけひろ)である。98年紫綬褒章、2011年菊田一夫演劇賞・演劇大賞、12年文化庁芸術祭賞・優秀賞など受賞多数。16年10月22日死去。