第13回目のヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展では、全体のディレクターである建築家のデビッド・チッパーフィールドが「コモン・グラウンド(共通基盤)」というテーマを設定した。日本館では、伊東豊雄(1941~)がコミッショナーを務め、東日本大震災後の状況に焦点をあてた展示「ここに、建築は、可能か」が、国別部門における最高の金獅子賞を受賞した。建築家の藤本壮介(1971~)、平田晃久(1971~)、乾久美子(1969~)が伊東と協力して、岩手県陸前高田市に建てるみんなの家の設計プロセスを展示したものである。 日本館では、被災地の陸前高田から運んだ木が林立し、それらの間を縫うようにスタディー模型が配置された。そして写真家の畠山直哉(1958~)の撮影による陸前高田のパノラマ写真の壁が全体を取りまく。震災を契機に建築の原点に立ち戻り、人々が集まる場所をつくる、というコンセプトが全体テーマにも合致し、高く評価された。国別部門以外では、スラムの問題に取り組む建築設計事務所アーバンシンクタンク(Urban Think Tank)が会場内に展示を兼ねた食堂をつくり、金獅子賞を受賞している。