正式名称は「避難地形時間地図」。日建設計の有志によって結成された震災復興ボランティア部の活動の一つ。コンピューターを活用し、地図に津波の履歴を重ね合わせ、それぞれの場所から安全な場所への避難にかかる時間を色で表現したもの。また地図に別の道や避難タワーを追加すると、その対策の効果がすぐに可視化され、費用対効果の高い復興計画、避難計画を立案するためのツールとしても有効である。こうした発想は、日建設計がデザインに活用している、あらかじめすべての事象をシミュレーションするBIMからの影響も大きいだろう。提唱者はワークショップを重視し、地元住民が地図に色を塗り、その後フィールドワークすることで、土地勘を組み込んだ強固な地図となり、慣れ親しんだ場所の特性を再認識させる。逃げ地図の作成プロセスはホームページで公開されており、地図と過去の津波浸水範囲の情報を入手すれば、誰でもどの場所でも制作可能である。このシステムを拡張すると、防災だけではなく、住民参加の都市計画にも応用可能になるだろう。