日本の貴重な近現代建築関係資料の調査、収集・保存、展示を行う、国立の施設が2013年5月に東京都文京区湯島に開館した。国の重要文化財である旧岩崎家住宅の隣接する湯島地方合同庁舎内の新館と別館の一部を改修して活用している。名誉館長に建築家の安藤忠雄が就任。事業概要は、(1)情報収集、(2)資料の収集・保管、(3)展示・教育普及、(4)調査研究等、としている。近年、海外において日本人建築家の活躍が顕著になり、マーケットにおいても設計図・模型等の貴重な史料の価値が高騰しつつあり、放置すれば、海外への流失・散逸が加速していく。こうした状況に対して、国立の施設が誕生したことは大きな意義をもつ。資料館と命名されたように、企画展よりも、まずは建築関連資料を広範に集めることが目的である。これまでも京都工芸繊維大学、金沢工業大学、東京藝術大学などがそれぞれにコレクションをもっていたが、資料館はこれら既存の建築資料の情報の共有も図りながら、アーカイブを構築していく予定である。なお、開館を記念する「建築資料にみる東京オリンピック」展が開催され、丹下健三やザハ・ハディド(Zaha Hadid 1950~)のプロジェクトの図面や模型などが展示された。