埼玉県立近代美術館での開催を皮切りに、2014年7月~15年7月の期間中、広島市現代美術館、松本市美術館、八王子夢美術館の4館を巡回する建築の展覧会。1950年代から70年代までの、丹下健三や安藤忠雄など著名な建築家が手がけた16の住宅のスケッチ、図面、写真、映像の資料と、新規に制作した模型などを展示する。戦後日本は深刻な住宅不足から出発し、さらに持ち家政策がとられた社会では、誰もが戸建て住宅を持つことを推奨された。こうした社会背景が日本の建築家に多くのチャンスを与え、東孝光(あずまたかみつ 1933~)による6層に及ぶ塔の家のように、極小の敷地や低予算など厳しい条件を逆手にとった前衛的な住宅が実現したり、設計者の意思表示としての自邸が登場している。その結果、住宅は日本独自に発展し、高度に洗練され、建築家を鍛える道筋となった。安藤忠雄による住吉の長屋など、彼を世界の舞台へと押し上げる作品として重要な役割を果たしている。