2年に1度、イタリアのヴェネチアで開催される建築の国際展覧会。第14回は、レム・コールハースが全体を統轄するディレクターを担当し、通常とは大きく異なる場をつくりあげた。彼は、建築家ではなく建築が主役のビエンナーレと位置づけ、「建築の要素」のセクションでは、窓、スロープ、階段など、部位ごとの展示を行い、各国のパビリオンには、「過去100年に起こった各国の建築の変容」を共通して展示するよう強く要請した。その結果、妹島和世(→「SANAA」)がディレクターを務めた2010年のビエンナーレが空間インスタレーション型だったのに対し、真逆の極みとなるリサーチ型の展示が実現した。最高の金獅子賞を受賞した韓国館は、韓国と北朝鮮のそれぞれの建築をとり上げ、分断という特殊な状況が及ぼした2国の違いを展示して注目を集めた。日本館は、会場を倉に見立て、1970年代に焦点を当てつつ、近現代の建築に関する膨大な資料をそのまま持ち込んだ。