2016年4月、熊本県・大分県にまたがる地域で直下型群発地震が発生した。14日午後9時26分のM6.5の揺れが前震、16日の午前1時25分のM7.3の揺れが本震とされ、その後も震度6から震度5の余震が相次いだ。16年12月の時点で死者は161人、住宅被害は約18万7000棟、その他の建築物の被害は約4600棟を数え、熊本県では最大18万人以上が避難を余儀なくされた(内閣府)。特筆すべき被害としては、熊本城の重要文化財や、1965年竣工の宇土市庁舎、阿蘇大橋などの建築物やインフラが倒壊・破損した。発災直後の物資支援の方法にあたっては、2011年の東日本大震災での経験をふまえ、物資の中継地点の設置や、各避難所に設置したiPadで物資の受注情報を一元管理するシステムを導入するなど、新たな試みも行われた。建築家も各方面で被災地の支援活動に取り組んでいる。坂茂(ばんしげる)は04年の新潟県中越地震や東日本大震災のときと同様、布と紙管による間仕切りを熊本県内の40カ所の避難所に提供し、仮設住宅も手がけた。また、くまもとアートポリス(優れた建築物を造り、質の高い生活環境を創造するとともに、地域文化の向上を図る熊本県の事業)の一環として、伊東豊雄らによる集会所、みんなの家も建設された。