太平洋のハワイ諸島の音楽。伝統的な音楽としては打楽器伴奏による踊りの音楽メレ・フラと祝詞のようなオリがあった。19世紀にヨーロッパ人が教会の賛美歌や音楽理論を持ちこんだことから西洋音楽との融合がはじまった。ハワイ音楽でよく使われるウクレレはポルトガル人が、ギターはカウボーイとして雇われたメキシコ人が持ちこんだ。ギターの弦に金属棒などを当てて弾くスライド奏法からはスティール・ギターが生まれた。弦をゆるめて変則的に調弦するスラックキー(キーホーアル)奏法も工夫された。ハワイの音楽は1920年代以降、アメリカ各地、ヨーロッパ、アジアに広まり、スティール・ギターはアメリカのカントリー・ミュージックやヨーロッパのタンゴに影響を与えた。ビング・クロスビーやエルビス・プレスリーの映画で観光地音楽として紹介されたこともあった。70年代以降はロックがさかんになり、近年はヒップホップやハワイアン・レゲエも定着している。主な音楽家・作曲家にリリウオカラニ(Lili'uokalani 1838~1917)、チャールズ・エドワード・キング、ジョニー・ノーブル(Johnny Noble 1893~1944)、ソル・ホオピイ(Sol Hoopii)、アンディ・アイオナ、フランク・フェレーラ(Frank Ferera 1885~1951)、レナ・マシャード(Lena Machado 1903~74)、ギャビー・パヒヌイ(Gabby Pahinui 1921~80)など。アーネスト・カアイは日本のポピュラー音楽の黎明期に来日して大きな足跡を残した。