ギターの弦を指で押さえて音程を変える代わりに、切り取った瓶の口(ボトルネック)や金属棒を弦に当てて、滑らせて変えるギターの演奏法。現在ではスライドバーという筒状の道具を指にはめて行うことが多い。滑らせて演奏することからスライド・ギターとも呼ばれる。この奏法では弦はフレットやネックに触れない。音が切れずに変わるため、通常のギター演奏では出ない12音以外の微分音も演奏に含むことができる。この奏法はかつてはブルース系ミュージシャンの間で知られていたが、1960年代以降ロック系のギタリストが取り入れ、他のポピュラー音楽にも広まった。起源は定かでないが、ハワイアン・ミュージックのスティール・ギターが影響を与えたという説と、アフリカの一弦琴から伝わった奏法を、ブルースマンがギターに応用して独自に発展させたという説がある。初録音されたのはブルース・ギタリストのシルベスター・ウィーバーによる「ギター・ブルース」(1923年)。