1950年代中期にアメリカ東海岸で生まれたジャズのスタイル。黒人ジャズメン主導の40年代のビバップ革命の後、50年代前半には白人のポップなウエスト・コースト・ジャズの全盛期が訪れた。それに対して、先行するジャズを継承・発展させ、メロディーやリズムにソウル的な感覚も取り入れたのがハード・バップ。時期的には、ロックンロールの主流を占めていたリズム・アンド・ブルース(R&B)が白人のロックンロールにとって代わられ、ゴスペル的要素を吸収してソウル(→「リズム・アンド・ブルース(アール・アンド・ビー)」)と呼ばれるようになったのと重なる。黒人の公民権運動の拡大という時代背景も見逃せない。60年代に入ってゴスペル的な要素を強調したハード・バップはファンキー・ジャズやソウル・ジャズと呼ばれた。主なミュージシャンにマイルス・デイビス、クリフォード・ブラウン、マックス・ローチ、キャノンボール・アダレイ、ソニー・ロリンズ、アート・ブレイキーなどがいる。