政府のクールジャパン推進会議が2013年5月に発表した行動計画。「クールジャパン」とは「かっこいい日本」の意。1990年代のイギリスのブレア政権が推し進めた「クール・ブリタニア Cool Britannia」に由来するとされ、アニメやマンガ、ゲーム、音楽、ファッションなどをはじめとする日本のポップカルチャーが、国際的に評価されている状況を指す。日本政府が成長戦略の一つとして掲げるこれらのコンテンツを、海外へ売り込むための情報発信や輸出振興政策を支援するのが目的。全19項目から成り、例えば国民の広範な参加を促すための総理大臣による「クールジャパン立国宣言」、日本食・食文化の普及・啓発を行う「食の伝道師」の育成、マンガ・キャラクターなどの国際的なインターネット投票の実施や上位キャラクターのキャンペーン活用、世界文化遺産(→「世界遺産」)を目指す文化財=「日本遺産」(仮称)の認定などが盛り込まれている。2013年11月には、安倍政権の音頭で官民ファンド「クールジャパン機構(正式名称・株式会社海外需要開拓支援機構)」が発足。政府出資500億円(14年度末は800億円を予定)に民間企業15社からの75億円を加え、先に挙げたポップカルチャーのみならず、自動車、電気機器、ロボットなどの先端テクノロジーや、食文化、ファッション、サービス、建築、伝統工芸や地域産品なども含めた幅広い「日本の魅力」を発信する事業会社を支援するため、海外拠点の整備・確保や潜在力ある地域企業の海外展開などに投資する。また、こうして輸出された日本文化に触れ、「本物」を求めて日本にやってくる訪日外国人の「インバウンド観光」(→「ツーウェイツーリズム」)に結び付かせようとする狙いもある。13年6月には、訪日外国人増加に向けて観光庁、経済産業省、日本政府観光局(JNTO)、日本貿易振興機構(JETRO)の4者による共同行動計画も策定。国内および海外における「クール・ジャパン」と「ビジット・ジャパン(→「訪日旅行促進事業」)」の連携による訪日観光促進の重要性が唱えられている。