個体識別の手段として動物の皮下に埋め込む超小型のIC(集積回路)チップ。15桁の数字(ID番号)が書き込まれて、直径約2mm、長さ11~13mmほどの生体適合ガラスに封入されている。動物に読み取り機(リーダー)を近づけて数字を読み取り、ID番号を管轄する組織に照会すると、その個体の情報がわかる仕組み。野生生物保全繁殖専門家グループ(CBSG)やワシントン条約(CITES)の管理機関では、希少動物の個体識別に早くから利用してきた。ペットでも迷子防止、盗難防止、捨てイヌ・捨てネコ防止を目的として普及の動きはあるが、異物を体内に埋め込むことへの抵抗感を持つ人も多い。だが2005年6月から実施された新しい検疫制度では、輸入されるイヌやネコにマイクロチップが装着され、かつ必要な条件を満たしていれば検疫のための係留時間が12時間以内と短縮されている。また、動物愛護管理法では、特定動物の飼育に関してマイクロチップ装着などの個体識別措置を義務づけ、05年6月から施行された特定外来生物被害防止法でも、規制対象として輸入や飼育が禁止された動物が現在すでに飼育されている場合の措置として、同様の個体識別を義務づけた。近年は販売前にマイクロチップを装着するペットショップも現れ始め、今後はペットへの装着も普及すると思われる。また、災害時の迷子防止対策としても期待される。欧州連合(EU)が04年に導入したペット専用のパスポート制度(→「ペットパスポート」)でも、マイクロチップ装着は義務づけられており、このパスポートを携行していれば、加盟国間を検疫のための係留なしで行き来できるシステムが作られている。