基本として、2個のスピーカーでサラウンドのような立体的な音声を再現する疑似体験技術。元来、人間は左右二つの耳で、音源の方向を正確に聞き分けることができる。これは、音源から発せられた音が、左右の耳に届く時間差や、頭部を回折する際に発生する音色の変化などを脳で分析して認知していることによる。バーチャル・サラウンドでは、この人間の聴覚特性を逆手に利用。制作者の意図した立体音声を、頭部伝達関数に基づき、電子回路で左右の耳に届く音の時間差として補正し、2個のスピーカーから聞かせることで、リスナーは立体的な音声と錯覚する。一般的に、家庭で立体的な音声を再現するには、前方左右と中央に加え、後方にもスピーカーを配置する5.1ch(チャンネル)や7.1chと呼ばれるサラウンドシステムを用いる。しかし、後方にスピーカーを配置するには、設置場所や配線の引き回しが問題となる家庭も多い。バーチャル・サラウンドの主な用途としては、テレビ、ラックシアター、ヘッドホンなど、簡易的なホームシアターがあげられる。