国土交通省を中心に検討されている新規格の車両。2012年6月に同省が「超小型モビリティ」の名称で発表したガイドラインによれば、「自動車よりコンパクトで小回りが利き、環境性能に優れ、地域の手軽な移動の足となる1人~2人乗り程度の車両」と定義され、13年1月には、「超小型モビリティ認定制度」も施行された。おおまかにいえばミニカー以上軽自動車未満で、定員は2人以下。車体サイズは全長2.5×全幅1.3×全高1.5メートル以内。全幅1.3メートル以下ならライトやミラーなどに二輪と同じ基準が適用される。定格出力は50cc以上125cc未満(または8kW未満)で、小排気量エンジン搭載も検討されているが、おおむね電気自動車(EV)を想定。車体が小さい電気自動車であればランニングコストや環境負荷も少なくて済むため、なかなか進まないEV普及の切り札になるとも言われている。電気自動車なら1回の充電で60キロ程度走れるため、主として駅への送迎や近場への買い物、宅配、子育て世代や高齢者の通園・通院など、シティコミューター(街乗り専用車)的な使い方がイメージされている。最高速度は時速60キロ程度に抑え、高速道路の走行は想定されていない。さらに時速30キロ以下なら、衝突安全基準(→「自動車アセスメント(自動車安全情報)」)の適用除外が可能となる。課題は70万~80万円と見込まれる車両価格で、これは軽乗用車のエントリーモデル(初心者向けの普及品)と変わらない。また、税金や自動車保険料、定期点検などの維持費もかかる。そこで、普及策の一環として、カーシェアリングでの活用も想定されている。中心市街地、郊外住宅地、観光地、離島などの地域事情や導入目的に合わせて、10年から全国各地で車両規格の検証や走行の安全性、導入の有用性、活用可能性などの実証実験が行われている。