水素を燃料とし、空気中の酸素と化学反応させて電気を作る燃料電池を動力源とする車両のこと。モーターやバッテリーを搭載している点では、電気自動車(EV)と構造は似ている。しかし、FCVでは水素を発電の燃料として走行するため、蓄電池式のEVよりも航続距離で大きく勝る。しかも水素は酸素と結合すると水になるだけなので、排出ガスも発生しない。また、燃料チャージが3分前後と速いのも大きなメリットだ。不安要素である耐久性についても、トヨタは2014年1月に北米で開催されたCES(コンシューマーエレクトロニクスショー Consumer Electronics Show)において、北極圏に近い極寒冷地であるカナダのイエローナイフや、最高気温が57℃にもなるアメリカ随一の灼熱砂漠(しゃくねつさばく)デスバレーでのテスト風景を公開するなど、その実績をアピールした。これまでトヨタとホンダは官庁や法人を対象にリース販売してきたが、1台数億円という価格と、燃料を補充する水素ステーションの整備が最大の課題だった。そんな中、トヨタは14年12月15日、世界初の量産型燃料電池車「MIRAI」を、723万6000円(税込)で一般ユーザー向けに発売。また、ホンダも同年11月17日に、燃料電池車のコンセプトカー「Honda FCV CONCEPT」を披露して、15年度中の発売を目指すとしている。一方、岩谷産業は14年7月に兵庫県尼崎市の中央研究所の敷地内で、国内初となる商用水素ステーションを開設。15年度中には、他社も含め約100カ所が開所する見通しとなっている。