トヨタ自動車が2014年12月15日に発売した、量産型としては世界初となるセダン型燃料電池車(FCV)。発表は同年11月18日。MIRAI=未来は和名ではあるが、日本だけでなくグローバルで展開される。販売台数は、日本で15年末までに400台、アメリカは17年末までに3000台以上、ヨーロッパその他の地域は15年までに50~100台程度を予定していたが、発売1カ月で国内受注が約1500台に達した。納車開始は15年春頃より、主に官公庁や企業向けから行われる見込みで、一般ユーザーへの引き渡しはそれ以降となり、発注時期によっては2~3年後になるとの見通しも出ている。このためトヨタでは、当初700台としていた年間生産能力を、16年に約2000台、17年には3000台程度まで引き上げることとした。定員は4人。日本での価格は723万6000円(税込)だが、経済産業省のFCV普及策によるクリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金(CEV補助金)が最大202万円受給できるので、購入価格は520万円ほど。これに加えてエコカー減税が21万900円、自動車グリーン税制で約2万2000円(翌年度)が減額されるので、実質負担額は498万3100円となる。またトヨタの地元愛知県では、県内の中小企業を対象に75万7000円の補助金を出すとしている。燃料電池で走行する仕組みの中心にあるのがトヨタ初の量産型燃料電池「トヨタFCスタック」で、水素と空気中の酸素との化学反応によって発電し、その電気でモーターを駆動させる。理論上エネルギー効率はガソリンエンジンの2倍以上、しかも酸素と水素の結合によって排出されるのは水だけなので、トヨタではこれを根拠に「燃料電池はパワフルでクリーンな動力源」としている。水素は水素ステーションで充填するが、フル充填まで約3分程度で済み、走行可能距離は最大約650キロとガソリン車に匹敵する使い勝手の良さを実現している。なお、トヨタは15年1月6日、燃料電池技術のさらなる普及と発展のため、関連特許約5680件を競合他社に無償で提供することを発表している。