自動車が障害物を感知して、衝突に備えて自動的にブレーキを作動させる機能の総称で、独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA→「自動車アセスメント」)による正式名称。欧文はユーロNCAP(欧州安全性能評価基準→「自動車アセスメント」)などで使われる呼称で、直訳すれば自動緊急ブレーキシステムとなる。日本では、トヨタのプリクラッシュセーフティーシステム(Pre-Collision System ; PCS)、ホンダの衝突軽減ブレーキ(Collision Mitigation Brake System ; CMBS)、富士重工のアイサイト(EyeSight)、マツダのスマートシティブレーキサポート(Smart City Brake Support ; SCBS )など、車両メーカーによって呼称は異なる。制御は車両に搭載したレーダーやカメラなどの各センサーで得た情報を、コンピューターが解析することで行われる。自動車アセスメント(Japan New Car Assessment Program ; JNCAP)では、「予防安全性能アセスメント試験」として、14年よりその性能をテストし、結果を公開するようにもなった。センサーには「ミリ波レーダー」「赤外線レーザー」「光学カメラ(単眼またはステレオ)」が使われるが、それぞれメリット・デメリットがあり、それをユーザーが認識していないという問題点も指摘されている(→「先進緊急ブレーキシステム」)。理想的にはミリ波または赤外線とカメラの併用だが、コストの問題もあり、搭載は一部車両に限られているのが現状だ。それでも、日本では衝突への万一の対策として装着を希望するユーザーが増え、装着率は急速に高まっている。ヨーロッパでは、12年からすべての車両に搭載することが義務付けられ、14年からはユーロNCAPの対象項目となっている。日本でも、14年11月以降に生産される総重量12トンを超える大型バス、大型トラックに装着が義務付けられた。またトヨタでは、15年に発売する新型車から同システムを標準装備すると発表。車格によってミリ波レーダーまたは赤外線と二通りのシステムが用意されたが、いずれもカメラとの併用型となっており、他社への波及効果が期待されている。