障害物や人間などを察知して衝突を回避するシステム(→「衝突回避システム」)。エアバッグやABS(アンチロックブレーキシステム antilock brake system)に続く新たな安全装備として急速に普及する兆しを見せている。基本技術には「ミリ波レーダー」「赤外線レーザー」「光学カメラ」の三つがある。それぞれに一長一短があり、「ミリ波レーダー」は、幅広い周波数帯と高い指向性を特徴とするミリ波帯の電波を用いて、天候に左右されず夜間でも動作でき、100メートルを超える距離まで認識可能だが、コストが高く、ミリ波を反射しにくい人間は検知が難しい。「赤外線レーザー」は、低コストで夜間でも使えるが、近距離でしか使えず人間の検出が難しい上、雨天時はレーザーが散乱して影響を受けやすい。「光学カメラ」には、単眼とステレオがあるが、いずれもコストはそれほど高くない上、ステレオ型なら障害物との距離の認識が可能だ。人間や自転車の認識もできるが、視界が悪化すると利用が難しくなる。理想的なのはミリ波レーダーと光学カメラの組み合わせだが、コストが高くなるため、現状では高級車にしか搭載が進んでいない。しかし、将来の自動運転車へつながる技術でもあるだけに、今後の開発競争がさらに進むのは確実だ。ヨーロッパでは「ユーロNCAP」(→「自動車アセスメント(自動車安全情報)」)と呼ばれる自動車安全テストでAEBSが必須とされ、開発は日本を超える勢いで進んでいる。