スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、アイスランドの北欧5カ国のガストロノミー(美食)。このエリアは、料理界ではあまり注目を浴びることがなかった。しかし2000年代後半になり、料理界のオリンピックと称される「ボキューズ・ドール」で、スウェーデン、デンマーク、アイスランドなどが軒並み上位に上がり、09年にはノルウェーが、11年にはデンマークが1位になった。また、イギリスの専門誌「レストラン・マガジン」が毎年行うランキング「ザ・ワールズ・フィフティー・ベスト・レストラン(世界のベストレストラン50 The World’s 50 Best Restaurants)」において10年から3年間、デンマークの「ノマ」が1位となった。これらによって北欧への注目度が一気に上がった。各国が食に力を入れだしたのは北欧を代表するシェフ12人が04年に「新しい北欧料理のマニフェスト」を発表してから。それまでスペインやフランス、イギリスで流行していた分子料理法(分子美食学)とは違い、よりシンプルに、自然の食材を見直し、生産者とともに文化的、経済的に食を考えていこうという取り組みがベースにある。それまで見過ごされていた素材を見直し地産地消を打ち出した北欧スタイルは、南米をはじめ各国に影響を与えている。