[一言で解説]
被疑者の身体の自由を拘束し、それを継続する捜査方法。逮捕されるとマスコミでは一件落着のように報道されるが、刑事手続き上は、刑事裁判の準備が始まったにすぎない。逮捕には、通常は令状が必要になる。
[詳しく解説]
逮捕は、捜査方法のひとつです。犯人と疑われている人が裁判所に出頭しなかったり、その人が証拠を破壊してしまったりすると、刑事裁判を進めることは困難です。被疑者が、逃亡したり、犯罪の証拠を破壊したりすることを防ぐ必要があります。そのために用いられるのが、逮捕という捜査方法です。逮捕中に、取調べをすることはできますが、取り調べるために逮捕することはできません。あくまで、逃亡や証拠破壊を防ぐために用いられるのが逮捕です。
逮捕は、人の身体を物理的に拘束する点で人権を大きく制約します。そこで、どういう場合に逮捕できるかが法律で厳格に決められています。まず、その人を犯人と見るだけの「相当な理由」があること(疑わしいこと)が必要です。また、逮捕しないと逃亡したり、証拠を破壊したりするおそれがあることも必要です(「必要性」)。さらに、この2つを、逮捕に先立って、中立的な裁判所がチェックします。これを「令状主義」といいます。