[一言で解説]
容疑者はマスコミ用語であり、法律上の「被疑者」を言い換えたものである。「被疑者」とは、犯人の疑いをかけられて、捜査の対象になっている人である。起訴された後は、被告人とよばれる。
[詳しく解説]
マスコミでは「被疑者」といわずに「容疑者」といいます。それは「被疑者」を「被害者」と聞きまちがえないためです。被疑者は、あくまで犯人の「疑い」をかけられている人にすぎません。犯人かどうかは刑事裁判ではじめて明らかにされるのです。ですから、逮捕された被疑者を「犯人」とよぶべきではありません。
似た言葉に「重要参考人」があります。犯罪の被害者や目撃者などから任意に事情を聞くときに、この「参考人取調べ」が行われます。何らかの事情を知っているとみて「重要参考人」として事情を聞いたところ、実は、目撃者ではなく被疑者だったということもあります。そのことを逆手にとって、「参考人取調べ」が逮捕の手続的規制をかいくぐる意図で悪用される危険には監視の目を光らせておく必要があります。
ちなみに「被疑者」のすべてが逮捕されるわけではありません。逮捕されずに起訴されることもあり、これを「在宅起訴」、その事件を「在宅事件」といいます。